ドロップ缶のお小遣いで買えた思い出の自転車

5、6歳ぐらいの時のことです。
当時、コロ付き自転車が欲しくてドロップ缶にその日に貰ったお小遣いを毎日せっせと溜めていました。

小銭を入れては振って、その重みと音を確かめながらその日が来るのを楽しみにしていたものです。
ようやく缶がいっぱいになった頃、なんの前触れもなく一台の軽トラが家の前に止まり、見知らぬおじさんが軽トラから真新しいコロ付き自転車を目の前におろしてくれました。

私は何がなんだかわからず、目を丸くして突っ立っていると母が「早く溜めたカンカンをおじさんに渡しなさい」と促したので、ようやく事態が飲み込めました。

とうとう待ちに待った自転車がやってきたのです。

恥ずかしがり屋だった私は、心の中では嬉しくてはしゃぎたい気持ちを抑えながら、おじさんに小銭の入った缶を渡しました。

おじさんは「ありがとう」と言って軽トラで去って行きました。

その時は、自分が溜めたお金で自転車を買ったという達成感や満足感でいっぱいでしたが、大人になって考えてみると、小銭と言っても5円、10円が大半で、ドロップ缶いっぱい溜めても自転車なんて買えるわけがありません。

大人たちが口裏を合わせてくれていたのです。
なんとも粋な計らいです。

その日が誕生日だったかどうか忘れてしまいましたが、この時のプレゼントは今でも胸がいっぱいになります。ドロップ缶いっぱいに詰まった夢のプレゼントでした。

性別 女
年齢 50代
ペンネーム なつ

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