火災保険の保険料が決まる条件とは?

火災保険の保険料は大きく分けて、土地や建物の「評価額」と建物の「構造」によって決まります。

保険金額が低いほど保険料は安くて済みますが、保険料を安く抑えたいからといって万が一の際に十分な補償が受けられる保険金額を設定していないと、そもそも保険の意味がありません。

ただし火災保険の保険金額は自由に設定できるわけではなく、保険の対象となる建物や家財の「評価額」や建物の「構造」を基準に決められるので、火災保険においては

評価額と構造判定を適切に設定する

ことによって、火災保険の適切な契約を結ぶことが可能になります。

建物や家財の評価について

再調達価額(新価)

保険の対象となる建物や家財を再構築・再取得したり修理するために必要な額を基準にした評価額です。なお、評価額は契約時の物価水準を基準に設定するので、契約後の物価変動によって実際の評価額が変動することがあります。

長期で契約する火災保険の中には一定以上の物価変動があった場合に保険会社から保険金額調整のお知らせが届く商品もありますが、そうでない場合もあるので物価が大きく変動した際は保険金額の見直しが必要になることを留意しておきましょう。

時価

再調達価額(新価)から年月による経年劣化や消耗による価値の下落を差し引いた額を基準にした評価額で、損害が生じた時点での価額を算定します。

火災保険を見直してみよう!
過去に長期の火災保険を契約された方の中には、契約内容が「時価」で設定されている場合があります。「時価」の設定では、火災等で建物や家財を失った際に保険金だけでは再建築や再取得の金額に足りない場合が考えられるため、現在の「建物」や「家財」と同等のものを保険金だけでまかないたい場合は「再調達価額(新価)」で適切な評価を行い、万が一の際にも十分な補償が受けられるように「再調達価額(新価)」いっぱいで保険金額を設定しなおしましょう。

建物の保険金額を評価額以下で契約することはできるか?

結論からいうとできます。

理想は評価額に対して100%の保険金額を掛けることが望ましいですが、どの程度掛けるかは契約者が自由に決めることができます。

例えば再調達価額3,000万円の建物に保険金額2,400万円(付保割合80%)と契約した場合、事故の際は2,400万円を上限として実費が補償されます。

例えば、家族4人で住むための一戸建てを建設したけれど、現在では2人の子供も独立して家を離れているので、万が一家が焼失した場合は両親2人が住めるだけの平屋が建設できればいいので、3,000万円の建物に対して保険金額2,400万円で契約するのは理にかなった選択です。

ただしこの場合、保険金額も20%割安とはならず、保険金額3,000万円の場合の保険金額と比較しておおよそ10%~15%安程度と若干割高にはなります。

建物の評価方法は?

新築で建築費が判明しているときはその建築費がそのまま評価額となりますが、それ以外の場合は建築時の価格に物価変動などを加味して計算する「年次別指数法」や、建物の構造から推定される建築費単価に面積を乗じて算出する「新築費単価法(概観法)」などによって評価します。

年次別指数法
◇中古住宅で建築費用が分かる場合
評価額=建築時の建築費用×経過年数に応じた物価変動指数例:平成22年に木造の注文住宅を2,200万円で建築した場合
評価額=2,200万円×倍率0.96=2,112万円
※倍率は建物の構造や保険会社によって異なる
新築費単価法(概観法)
◇建築費用が分からない場合
評価額=保険会社が基準とする1㎡あたりの単価×延べ床面積例:70㎡のマンションを購入した場合
評価額=15万円/㎡×70㎡=1,050万円
※1㎡あたりの単価は地域や建物の構造や保険会社によって異なる

建物の評価における注意点

マンションの場合

マンションの売買代金には土地代やエントランスなどの共用部分の一部代金も含まれるので、火災保険の対象となる専有部分の正確な建築費は分かりません。

そのため、マンションの場合は売買代金全額を評価額に設定する必要はなく、「新築費単価法(概観法)」で計算することになります。

専有部分の範囲には、専有部分と共有部分の境目を壁や柱の構造体の中心とする「壁芯基準」と、構造体を除く室内側の壁の表面を基準とする「上塗基準」の2種類がありますが、基本的にマンションの管理規約は、国土交通省が「上塗基準」を採用して作成した「マンション標準管理規約」に基づいて作成されているため、「上塗基準」が採用されています。

この基準を誤ると建物の評価額に大きな差が出る可能性があるので、念のために評価時はマンションの管理規約を確認しておきましょう。

建売住宅の場合

建売住宅は土地と建物がセットになっており、また、土地には消費税がかからず、建売住宅の売買契約書に記載された建物金額や消費税から逆算して建物の金額を推測することができますが、実際には購入者や売主の消費税負担を軽くするために土地代金と建物代金の内訳を調整して建物代金が安く設定されている場合があります。

この場合、建物金額や消費税を逆算した評価額を適用してしまうと、実際の評価額を大幅に下回ってしまう可能性があります。

よって評価額が低すぎる可能性がある場合は、実際の建築費を売主や施工会社に確認しましょう。

なお、建物の再調達価額は新築の注文住宅を除き正確にはわからず、多くの場合は保険会社が定めた概観法による新築単価を基に評価額を算出しますが、概観法における㎡単価も絶対的なものではないので、おおよそ±30%の範囲での増減が認められています。

家財の評価方法は?

家財の評価は世帯主の年齢や家族構成によって評価する「簡易評価」と、自分で所有している家財の合計額を計算する方法があります。

「簡易評価」はあくまで参考データで、実際の家財の購入金額とのずれがあり、万が一の際に保険金額の過不足が発生することが十分に考えられます。

よって、家財の評価を設定するときは家財道具一式を購入した際の金額で計算してから保険金額を設定しましょう。

なお、貴金属や宝石や美術品など、1個または1組の価額が30万円(時価)を超えるものや稿本、設計書、図案、証書他、これらに類する物は保険契約の際に申込書に明記しないと保険対象とならない場合があるので注意しましょう。

また申込書に明記してあっても盗難の場合は上限が100万円など、支払われる保険金が制限される場合もあります。

保険料に関係する構造について

3つの構造級別

火災保険の保険料を決める要素の一つに、対象となる建物が建っている場所や建物の構造があります。
燃えにくい構造の建物ほど火災に強いことから保険料率は低めに設定され、逆に燃えやすい構造の建物は保険料率が高めに設定されています。

構造種別 M構造
(マンション構造)
T構造
(耐火構造)
H構造
(非耐火構造)
保険料 安い        ⇔        高い
建物の例 ・コンクリート造りの共同住宅
・耐火建築部部の共同住宅
・コンクリート造りの一戸建て
・鉄骨造りの一戸建て
・耐火建築物の一戸建て
・準耐火建築物の一戸建て
・省令準耐火構造など
一般的な木造住宅やM構造、T構造のいずれにも該当しない建物

保険料はM構造が最も安くH構造は高くなり、M構造とH構造では保険料に4倍近くの開きが出てきます。

必見!構造区分の見直しで保険料が安くなる場合も

建物の構造の違いを規定した「構造級別」は以前はA~D構造の4種類でしたが、構造区分が複雑で誤った判定が多かったことから、2010年1月に主に柱の材質で判定できるように3種類(M構造、T構造、H構造)の「構造級別」に変更されました。

これにより、旧構造規定でB構造であった建物のうち、2010年1月以降に規定された新構造規定では、木造住宅で外壁がALC版(軽量気泡コンクリート)の建物はH構造と判定されます。

よって、これらの建物の契約はB構造料率だった保険料から大幅に値上がりすることになり、この値上がり幅を緩和する措置としてK構造(経過措置構造)が規定され、K構造の料率が適用されることになっています。

一方、旧構造規定でC構造だった「省令準耐火構造」の建物は新構造規定ではT構造に該当し、保険料が大幅にダウンします。

よって、「省令準耐火構造」に該当する建物を長期契約している場合は保険料を大幅に節約できる可能性があるので、保険料の見直しを検討しましょう。

住宅物件の構造級別判定

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