損害保険の保険金の請求から受け取りまで

事故はめったに起こるものではありませんが、めったに起きないがゆえに、いざ事故が起こったときに加入していた保険の保険金の請求手続きは誰もが不慣れで戸惑うものです。

保険金は当事者もしくは親族などが保険会社に請求しない限り、支払われません。

万一の事故の際は保険金が早く支払われるのに越したことはありませんから、いざという時のために、事故発生から保険金受け取りまでの流れを事前に把握しておくのは非常に大切なことです。

請求できる補償をあらかじめ一覧にして整理しておく

補償の請求漏れを防ぐために、補償内容を把握するためにも現在加入している損害保険の補償一覧表を作成しておくことをおすすめします。

保険種別 保険商品名 補償内容 特約 保険金支払い条件 満期日 保険会社連絡先
自動車保険 加入している保険種別ごとの保険商品名を箇条書きで記載 保険商品ごとの補償内容を箇条書きで記載 付帯している特約を箇条書きで記載 補償内容ごとに保険金の支払い条件を列記 加入している保険商品ごとの満期日を記載 保険会社の事故受け付け窓口の連絡先を記載
火災保険
傷害保険
賠償責任保険

事故が起きた際に最初に行うこと

事故が起こってまず最初にすべきことは、

ケガ人の救護

です。特に自分が加害者となった場合は、救急車の手配を早急に行い、警察や消防にも連絡をします。

救急車や警察・消防には現場の処理をしてもらうだけではなく、後に自動車保険や火災保険の保険金請求に必須となる事故証明書や罹災証明書を手配するのにも必要です。

届出がなく事故の事実が確認できないと保険金が支払われないこともありますので、ちょっとした事故でも自分で判断せずに必ず届け出るようにしましょう。

保険会社もしくは保険代理店に連絡する

ケガ人の救護と関係各所への連絡が終わったのちに、契約している保険会社や保険代理店に連絡します。

保険代理店が休みの場合でもほとんどの保険会社では専用窓口にて24時間365日事故受け付けを行っているため、いざという時に慌てないように専用窓口の連絡先は必ず控えておきましょう。

保険種別 事故時の対応
自動車保険 ◇ケガ人の救護
◇警察および車火災など必要に応じて消防にも連絡
◇保険会社へ連絡
火災保険 ◇ケガ人の救護
◇消防に連絡
◇保険会社へ連絡
傷害保険 ◇自分のケガの手当(必ず病院で医師の診断を受ける)
◇保険会社へ連絡
賠償責任保険 ◇ケガをさせた場合は相手の救護
◇必要に応じて警察へ届け出
◇保険会社へ連絡

自分だけの判断で現場対応をしてしまうと後々トラブルになりかねません。
事故時はとにかく保険会社の指示に従いましょう。

事故の発生から保険金が支払われるまでの流れ

ステップ イベント 自分で行うこと 保険会社の対応 備考
1 事故発生時 保険会社に連絡 事故受付・請求から保険金受取りまでの案内および必要書類の案内、事故解決の支援 事故受付窓口にて
2 保険請求手続き 保険金請求に必要な書類に記載・押印し保険会社に提出 損害調査・支払い保険金の計算 損害保険料率算出機構にて損害額を算定
3 保険会社から連絡 損害調査への協力 事故内容の確認 保険会社から連絡が来ない場合あり
4 示談交渉(賠償事故の場合) 示談交渉が決裂した場合は裁判へ
5 示談決定 示談書を保険会社に送付 保険金の確定
6 保険会社から支払保献金の連絡 支払い保険金の確認 支払い保険金の通知 保険金に不満がある場合は保険会社へ保険金支払不服申立を行う
7 保険会社が保険金を振り込み 保険金の受け取り 保険金の支払い

示談交渉を自分で行わなければならない場合も

例えば自動車事故の場合、自分にも過失があれば保険会社が示談交渉を行ってくれますが、自分に過失がない場合は相手の保険会社と直接交渉しなければなりません。

示談交渉は最終的には相手との賠償金額を決定するものですが、法律知識に加えて経験が乏しい素人では、専門家である保険会社や弁護士と交渉して納得のいく賠償金を得るのは相当困難と言わざるをえません。

このような場合に備え、弁護士費用補償特約があります。

例えば「追突事故」や「もらい事故」で自分の過失が0の場合は相手の保険会社と直接示談交渉しなければならないのですが、弁護士費用補償特約に加入していれば自分に代わって専門の弁護士が相手との示談交渉を進めてくれ、かかる弁護士費用も補償されます。

上記以外にも、弁護士費用補償特約は下記のような場合にも利用できます。

  • 相手が交渉に応じない
  • 相手が希望する賠償請求に応ない
  • 相手と過失割合がまとまらない
  • 相手の保険会社が提示した示談金・慰謝料・賠償額に納得できない
  • 示談交渉に時間をとられたくない

現実的には相手との示談交渉は普段の生活では時間的制約も多く、交渉自体が困難になることも十分想定されます。

よって、弁護士費用補償特約には加入しておくことを強くおすすめします。

保険金の請求には時効があります

保険金はいつまで経っても請求可能なわけではなく、3年を過ぎると請求の権利そのものが消滅し、保険金を一切受け取ることができなくなってしまいます。

時効となる3年の起算日は保険の種別によって異なるので注意しましょう。

保険の種別 時効の起算日と時効期間
死亡保険 死亡日の翌日から3年
後遺障害保険 症状が固定した日(医師からこれ以上治療しても改善する見込みはないと診断された日)の翌日から3年
傷害入院・通院保険 日常生活が送れる程度に治ったと診断された日の翌日から3年
車両保険 損害発生の翌日から3年
賠償責任保険 法律上の損害賠償責任の額が判決や示談によって確定された日から3年
火災保険 火災事故発生日の翌日から3年
自賠責保険 【加害者請求】
被害者に賠償金を支払った日の翌日から3年
【被害者請求】
事故発生日の翌日から3年
※死亡事故・後遺障害事故の場合は表内上記と同じ

なお、交通事故の場合が治療が長引いたり、示談交渉がまとまらないなどの理由で3年以内に自賠責保険の請求ができないことがあり、このようなことが想定される場合は事前に損害保険会社に対して「時効中断の手続き(時効中断承認申請書の提出)」を行います。

時効中断の手続きが受理されれば、その日から時効は停止されます。

また保険会社側にも保険金の支払期日があり、損害保険金会社は保険金の請求が完了した日を含めて30日以内に保険金を支払う必要があります。

ただし、事故に関して特別な調査や事実確認が必要な場合はこの限りではありません。

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