損害賠償の請求には時効があります

2018年9月19日

損害賠償の請求権にも時効があり、一定の期間が過ぎて時効が成立すると賠償を受けることができなくなります。

時効による損害賠償の請求権の消滅に注意

交通事故で被害者となって損害賠償を請求する権利があったとしても、そのまま何もしないでおくと時効が成立し、請求する権利が失われてしまいます。

損害賠償請求権の時効期間

【民法709条】
◇被害者が、損害のあった事実と加害者の両方を知ったときから3年間
◇加害者不明の場合事故後20年間

【自賠法】
◇事故のとき(事故の翌日)から3年間。ただし、死亡事故の場合は死亡日から3年間、後遺障害事故の場合は症状固定時から3年間。

注意!時効の起算日の考え方

午前0時ちょうどの事故の場合を除き、時効の起算日は事故日を除いた翌日を起算日とします。
というのも、事故当日を時効期間に参入すると事故当日だけが24時間ではなくなり不公平が生じるからです。

事故の種類ごとの時効期間

死亡事故の場合

交通事故により被害者が死亡した場合、時効開始は被害者が死亡した日となります。
仮に事故後は被害者が重体であったとしてもその後に死亡が確認された場合、損害賠償請求権の時効は死亡が認められた日の翌日から3年となります。

後遺障害事故の場合

交通事故が原因となる後遺障害が認められた場合、損害賠償請求権の時効は症状固定の日が起算日となります。具体的には医師による後遺障害診断書が作成され、症状固定が認定された日の翌日から3年が時効となります。

人身事故の場合

交通事故により被害者が怪我を負ってしまったが後遺障害が認められない場合、基本的には交通事故発生日の翌日が起算日となり、損害賠償請求権の時効は交通事故発生日の翌日から3年となります。

物損事故の場合

被害者に怪我がなく、車が壊れたなどの物損だけの場合は交通事故発生日の翌日が時効の起算日となり、損害賠償請求権は交通事故の発生日の翌日から3年で時効となります。

注意!時効の起算日が変更されるケース

起算日の変更事由 変更後の時効期間
請求書に不備があり保険会社から請求者に返却されたとき 返却日から3年
「無責」「非該当」などの理由で保険会社が支払いできないと回答したとき 回答日から3年
仮渡金が支払われたとき 支払日から3年
内払金請求のとき 前回の支払日より3年
通知された支払額に不満があり、請求者が保険会社に異議申し立てをしたとき 回答日より3年

時効の中断方法

交通事故の影響で示談の開始が遅れたり、示談交渉が始まっても条件が折り合わずに話し合いが長引いたり、示談交渉の間にも仕事の都合で長期出張や転勤を余儀なくされたり、そうこうしているうちに時効がきてしまっては損害賠償の請求そのものが不可能になってしまいます。

このように損害賠償の請求において時効のおそれが出てきたときは、時効を中断させることができます。

債務の承認を受ける

「債務の承認」とは、被害者に損害賠償請求権があることを加害者側が認めることを指し、例えば加害者が被害者に損害を賠償する旨の書面を差し入れたり、任意保険会社による治療費などの仮払いや損害賠償金の一部が支払われた場合、時効は中断されます。

また、保険会社に対して時効中断申請書を提出し、債務の承認が行われれば時効を3年間延ばすことができます。

調停を申し立てる

調停とは裁判所と通して相手方を話し合うための手続きのことを指し、調停委員や裁判官が間に入ることになるためより迅速な示談の合意を期待できます。

ただし、調停を取り下げたり調停そのものが不調となった場合はその時点で時効中断の効力がなくなります。

訴訟を起こす

訴訟を起こすと裁判所に訴状を提出した日に時効が中断します。

具体的には、配達証明付きの内容証明郵便で損害賠償請求書(催告書)を加害者に出し、催告書到着日から6ヵ月以内に裁判を起こすと時効を中断することができます。

ただし、以下の場合は時効の中断がなかったことになります。

  • 催告書を送付後6ヶ月以内に裁判を起こさなかった
  • 訴えを取り下げたり却下された

なお、催告書の送付による6ヵ月の時効の中断は1回限りで、繰り返し催告書を送ることで6ヵ月の時効の中断を6ヵ月以上に引き延ばすことはできません。

そして判決が確定する、もしくは裁判上の和解が成立すれば、新たな時効期間(10年間)が始まります。

加害者が任意保険に加入していれば裁判の判決に従って必ず損害賠償金が任意保険会社から支払われるため、その後の10年間の時効は気にする必要はないでしょう。

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