車の個人売買を行う場合

2018年7月21日

個人売買を行う場合の留意点

車は販売店などを通さずに個人間で直接売買を行うこともでき、販売店を通さないのでマージンを上乗せされずに言い値で売り買いできるのが魅力ですが、反面リスクも伴います。

◇移転手続きが行われない
◇売買代金が全額支払われない
◇車に事前に知らされていない不具合があった

など、このようなことが起こっても自分自身で解決するしかありません。
後々トラブルにならないよう個人売買における手続きの一例を公開しますので、参考にしていただければ幸いです。

車の個人売買で必ず行っておきたいこと 10カ条
STEP1:直接会ってお互いの身元を明らかにする
STEP2:車が売る側の所有者名義になっているか確認する
STEP3:車を売る側の書類に不備がないか確認する
STEP4:試乗する
STEP5:完了後の保証について合意する
STEP6:買主の車の移転登録手続きの期限と移転登録完了を売主に知らせることを明らかにする
STEP7:基本的に現金一括のみで売買する
STEP8:車の引き渡し日を明らかにする
STEP9:代金の振り込み日を明らかする
STEP10:取り決めたことは全て文書に明記し、お互いの署名・捺印の上で双方1通ずつ保管する

STEP1:直接会ってお互いの身元を明らかにする

直接会ってお互いの運転免許証でお互いの身元を確認し、お互いの勤務先も明らかにしましょう。その時にお互いの連絡先を交換し、その場でお互いの連絡先登録をしてください。

そしてもし買う相手が未成年者だった場合は法定代理人(親権者または後見人)の同意書と印鑑証明が必要なこと、無職だった場合は車両売却価格と同額以上の現金を有しているかを相手に伝えて確認してください。

売る側や買う側のどちらでも、遠方だから直接会えない等の理由で会おうとしない場合は、そもそもその相手と個人売買をするべきではありません。

会えない場合は取引が行えないとはっきり断りましょう。

STEP2:車が売る側本人の所有者名義になっているか確認する

車検証の所有者名が売る側本人の名義になっていないと売買そのものができません。
もし売る側が車のローンの支払中で所有者が販売店だったりクレジット会社等だった場合は、売る側がローンを完済して「所有権解除」の手続きをしてから売買の話を進めましょう。

なお、ローンを払い終わっていても名義変更が終わっていない場合は、同様に売る側にて「所有権解除」の手続きを完了させてから売買の話を進めましょう。

ローンが残っているけれども車の売却代金で完済したい、という売主の場合は個人取引きを行うべきではありません。取引は断りましょう。

STEP3:車を売る側の書類に不備がないか確認する

車を売る側は所有者であることもそうですが、車検や自賠責保険が切れていることも考えられます。

車検が切れている場合は「新規登録」をする必要があり、車検が残っている車を「移転登録」する場合と違ってより多くの費用が必要となります。

「新規登録」の場合の費用をどちらが負担するかなど、売買手続きを進める前にあらかじめ合意しておきましょう。

なお、中古車の「新規登録」に必要な書類などは、

ナンバープレートが付いてない車を新規登録する際に必要な資料>>

も参照してください。

STEP4:試乗する

売主および車の名義および車検残が確認できたら試乗させてもらいましょう。
試乗せずして車のコンディションは確認できません。

ただし、試乗する前に買主の任意保険の乗る人の条件が、家族限定等の制限がかかってないか確認してください。

もし家族限定等の制限がかかっている場合は、試乗といえど決して買主が運転してはいけません。売主が運転する助手席もしくは後部座席に乗せてもらい、異音がないか、エアコンは作動するかなどをチェックしましょう。

なお、試乗を断る買主とは取引をしないことを強くおすすめします。

STEP5:売買完了後の保証について合意する

個人売買の場合、車を売却後に不具合があったとしても基本的に売主側が修理対応できるわけではありません。

かといって、買う側も買ってすぐに重大な不具合があったとしたら詐欺にあった気分になるでしょう。

個人売買なので車の保証についてはお互いが納得できる落としどころをつけるしかないのですが、一例として保障に関する取り決めを公開しますので、是非参考にしてください。

車の保証に関する取り決め事項
保証期間保証範囲保証内容
重要部品エンジン引き渡し日から3か月までエンジンが止まったり大きな異音がしたり、明らかに走行に支障がある場合のみ買主がディーラーなどで点検。修理が必要な場合は売主が修理費の8割を負担。
駆動系走行に明らかに支障がある場合のみ
ブレーキ停止できない等走行に明らかに支障がある場合のみ
サスペンション走行に明らかに支障がある場合のみ
ホーンホーンが鳴らない場合のみ
電装系ヘッドライト現状引き渡し現状引き渡し保証なし
スモールランプ
ウィンカー
ハザード
その他灯火類
ワイパー引き渡し日から1か月まで動作しない場合のみ買主がディーラーなどで点検。修理が必要な場合は売主が修理費の8割を負担。
外装・内装ボディ塗装現状引き渡し保証なし保証なし
室内の汚れ
タイヤタイヤの溝
スペアタイヤ
備品ジャッキ
その他
車載工具

※買主は修理に出す前に必ず売主に連絡を入れる
※買主側に明らかな落ち度がある場合は本取り決め事項は無効とする
※本取り決めに無い事項は売主と買主で話し合って解決する
※引き渡し日から3か月が過ぎたら本取り決め事項は消滅し、その後売主は一切の責任を負わないものとする

STEP6:買主の車の移転登録手続きの期限と移転登録完了を売主に知らせることを明らかにする

車を買う側は代金を支払うだけではなく、移転登録の手続きを完了させる必要があります。
移転登録の手続きがそのままだと旧所有者宛てに税金の支払い通知が届くため、年度をまたがる取引の場合は移転手続きに時間の猶予がなく注意が必要です。

移転手続きもそれなりの手間がかかるため、いつまでに手続きを終えるか売主と買主の間で期限を合意しておきましょう。

そして買主側で移転登録の手続きが完了したら、取り決めた期限に関わらずその旨を売主側に伝えましょう。

所有者が新しく買主名義になった車検証のコピーを買主が売主に送れば間違いがありません。

STEP7:基本的に現金一括のみで売買する

車の売買に合意したときの手付金を除き、車両代金は原則現金での一括払いにしましょう。
買主側が分割払いを提案したとしても、いざ支払が滞れば裁判をしたとしても相当な時間と費用が必要になり、割に合いません。

分割払いを主張する買主とは取引をしないことを強くおすすめしますが、どうしても売買を行う場合は債権回収リスクは全て売主のみで負うことを覚悟してください。

STEP8:車の引き渡し日を明らかにする

車の引き渡し日を合意しておくのと、引き渡し方法について取り決めておきましょう。

◇どちらが車を引き渡しに行くもしくは取りに行くか
◇ガソリンの取り扱いとガソリン代はどうするか
例:
・買主が売主側に引き取りに行く場合は売主側にて満タンにしておく
・売主が買主側に届ける場合は買主側の最寄りのガソリンスタンドで満タンにする
・引き渡しにかかる交通費はお互いの負担とする
◇引き渡し日に引き渡せなかった場合は、理由の如何に関わらず、次の引き渡し日まで1日あたり5,000円を売主が買主に現金で支払うものとする

STEP9:代金の振り込み日を明らかにする

車の売買ともなればそれなりの額のお金のやり取りになりますが、安全面の観点と取引き履歴が残るので基本は銀行振り込みにし、振り込み日を決めましょう。
なお、振り込み手数料をどちらが負担するかも事前に取り決めておいてください。

現金で授受する場合は領収書を忘れずに。

STEP10:取り決めたことは全て文書に明記し、お互いの署名・捺印の上で双方1通ずつ保管する

これが一番重要です。フォーマットは問いませんが、売主と買主で取り決めた事項は必ず文書にして2部印刷し、両方の文書にお互いの署名・捺印をした上で双方で保管しましょう。

なお、取り決め事項に加えて双方で話し合い、売買取引そのものに関する条項を付け加えることをおすすめします。

売買取引に関する取り決め事項の例:
◇取り決めにない事項はお互い協議の上決定する
◇相手側の取り決め事項の不履行や不誠実な対応、もしくは明らかな不手際・落ち度によって取り決め事項の遂行が困難となった場合、本契約は破棄とし、違約金(売買代金の××%)を破棄となった日から3か月以内に相手に現金で支払うものとする。
◇本取引にて知りえたお互いの個人情報は本取引のみにおいて使用するものとし、これに反する事実が発覚した場合は無条件に本契約は破棄とし、違約金(売買代金の××%)を破棄となった日から3か月以内に相手に現金で支払うものとする。

個人売買の流れ

実際の個人売買の流れは相手との話し合いやお互いの都合によって前後する場合もあります。ただ売主と買主でやること(ToDo)と期限(Due)を明らかにして事前に合意していないとトラブルの元になりかねません。

下記を参考に話し合いで決定しましょう。

STEP1:売主と買主でお互いの身元および連絡先確認
STEP2:売買に必要な書類の準備(売主)と移転登録手続き(買主)の期限の合意
STEP3:車の保証に関しての合意
STEP4:手続きや税金を含めた車の売買代金の合意
STEP5:上記全ての合意事項を実行期限を明記して文書化
STEP6:買主が売主に手付金を支払う(売買代金の5%~10%)
STEP7:買主が移転登録手続きの完了を売主に連絡
STEP8:売主が買主に車両の引き渡し
STEP9:買主が期限までに売主に手付金を差し引いた残金を支払い

個人売買に必要な書類(移転登録手続き)

売る側(旧所有者)が準備する書類

書 類備 考
手数料納付書自動車検査登録印紙を添付
申請書OCRシート第1号様式 ダウンロード>>
自動車検査表車検の有効期間のあるもの
譲渡証明書新旧所有者を記入して旧所有者の実印を押印
印鑑所有者本人が直接申請するときは印鑑証明書の印鑑(実印)、代理人申請の場合は代理人は記名
印鑑証明書発行後3ヶ月以内
委任状代理人申請の場合は実印の押印が必要だが、本人が申請する場合は不要

※旧所有者に氏名、住所等変更がある場合は変更の事実を証する書面が必要です。詳しくは国土交通省:変更登録の申請に必要な書類を参考にしてください。

買う側(新所有者)が準備する書類

書 類備 考新所有者と新使用者は同じ新所有者と新使用者が違う
新所有者の印鑑証明書発行後3ヶ月以内のもの
新所有者の印鑑新所有者本人が直接申請するときは印鑑証明書の印鑑(実印)、代理人申請の場合は代理人は記名
新所有者の委任状代理人申請の場合は実印の押印が必要だが、本人が申請する場合は不要
新所有者の自動車保管場所証明書新所有者の住所を管轄する警察署より発行を受けたもので発行後1か月以内のもの
※使用の本拠の位置が変更になり、且つ自動車保管場所証明書適用地域の場合に限り必要
新使用者の住所を証する書面個人においては住民票(マイナンバーが記載されていないもの)または印鑑証明書、法人にあっては登記簿謄本等で発行後3ヶ月以内のもの
新使用者の印鑑新使用者本人が直接申請するときは認印、代理人申請の場合は代理人は記名
新使用者の委任状代理人申請の場合は認印の押印が必要だが、本人が申請する場合は不要
新使用者の自動車保管場所証明書新使用者の住所を管轄する警察署より発行を受けたもので発行後1か月以内のもの
※使用の本拠の位置が変更になり、且つ自動車保管場所証明書適用地域の場合に限り必要

書類の入手先

◇運輸支局内か周辺の用紙販売所で入手
「OCRシート」「委任状」「譲渡証明書」「重量税納付書」「手数料納付書」など

◇運輸支局内周辺の自動車税事務所
「自動車税・自動車取得税申告書」

手続きをする人と場所

買主が売主が準備した書類一式を受け取り、新しく使用の本拠の位置となる住所を管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所で移転の手続きを行います。

移転登録にかかる費用

◇登録手数料:500円(検査登録印紙代)
◇ナンバープレート交付手数料(自動車登録番号の変更を伴うとき):約2,000
◇自動車取得税 ※税額については各都道府県税事務所に問い合わせ

移転登録に関わる税金について

移転登録と同時に「自動車税・自動車取得税の申告」手続きを行います。
移転手続きが年度をまたがると前所有者に自動車税の納付書が送付されるので注意しましょう。

なお、移転登録されても自動車税は前所有者には戻らないのでその旨は前所有者に伝えておきます。

自動車取得税は新所有者が納める必要があります。
詳細は、自動車取得税とは?概要と計算方法>> を参照ください。

自賠責保険の名義変更について

移転登録後に、「自賠責保険証明書」発行の損害保険会社で

自動車損害賠償責任保険承認請求書

にて自賠責保険の保険契約者の名義を変更する手続きが必要です。

移転登録における注意事項

◇他の管轄の運輸支局・検査登録事務所から転入した場合、ナンバープレートが変更となるので申請時に自動車が必要になります。
◇未成年者が所有者の場合には、両親の実印を押した同意書、戸籍謄本、両親のうち1名の印鑑証明書が必要となります。
◇使用の本拠の位置に変更がないとして、自動車保管場所証明書の添付を省略する場合は従前の当該使用の本拠の位置に引き続き拠点があることが分かる書面が必要となります。

少額訴訟について

「売買代金の支払いが遅れている」など、金銭に関するトラブルが起こった場合、少額訴訟という制度を利用すると迅速な解決が期待できます。

少額訴訟は、

60万円以下の金銭の支払いを求める

場合のみ利用できるという制限がありますが、長期にわたる可能性の高い通常の裁判と比べると以下の特徴があります。

少額訴訟の特徴
◇原則一回の期日で審理を終えてその日のうちに判決が言い渡されます
◇原告の言い分が認められる場合でも,分割払い,支払猶予,遅延損害金免除の判決が出ることもあります
◇被告(訴えられた人)が決められた期日に裁判所に来ない場合は原告(訴えた人)の言い分どおりの判決が出る可能性があります
◇被告が判決に従わない(金銭の支払いに応じない)場合は強制執行で被告の給与や預金を裁判所命令で差し押さえることができます

簡単にいうと、

被告の逃げ得を許さない

制度です。「60万円以」という制限に問題がなければ是非活用したいですね。

少額訴訟の手続きの仕方

原則として原告(訴えられる人)の住所を管轄する簡易裁判所に必要書類を準備して郵送するか直接提出します。

少額訴訟に必要な書類

【訴状】
各簡易裁判所に定型用紙が備え付けてあります。なお,一部は,裁判所ウェブサイト(各地の裁判所のサイト内に各庁独自の書式がある場合もあります)からダウンロードすることもできます。
申立て等で使う書式例

【申立手数料】
収入印紙で納めてください。
申立手数料の額(参考)

【添付書類等】
◇当事者が法人の場合:登記事項証明書 1通
◇当事者が未成年の場合:親権者を証明する戸籍謄本 1通
◇訴状副本:(相手の人数)通

引用:裁判所(少額訴訟)<< 詳細はこちらのサイトを参照ください

車庫証明とは

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