積極損害の種別について

2018年6月3日

積極損害とは、交通事故にあわなければ被害者が支払う必要のなかった費用のことで、人身事故では入院費用や治療費、病院への交通費、物損事故では買い替え費用や修理費がこれにあたります。

人身事故(死亡事故/後遺障害/障害)の積極損害

人身事故の積極損害は賠償金が常識の範囲を超えて高額とならないように一定の基準が設けられていて、あんまや鍼灸は医師が治療に必要だと認めた場合のみ請求することができます。

治療関係費

治療のために医師にかかる費用全般で、

  • 診察費
  • 治療費
  • 入院費

などがこれにあたります。なお後遺障害で症状固定後も将来に渡って治療が必要と判断される場合の治療関係費が積極損害として認められる場合もあります。

付添看護費

傷害の程度によって通院や入院時に誰かに付き添ってもらう必要がある場合、付き添いにかかる費用を付添看護費として請求することができます。なお治療費と同じく、後遺障害で症状固定後も将来に渡って付き添いが必要と判断される場合の付添看護費が積極損害として認められる場合もあります。

通院交通費

通院のための交通費も積極損害として認められており、基本的には公共交通機関の利用金額が適用されますが、通院先が過疎地で徒歩での移動が困難だったりバスの便が1日1本等、公共交通機関での通院が著しく困難な場合は例外的にタクシー利用の交通費が認められる場合もあります。

また通院のために付添が必要な場合は前記付添看護費のほかに,付添人の通院交通費も積極損害として認められます。

なお治療費や付添看護費と同じく、後遺障害で症状固定後も将来に渡って付き添いが必要と判断される場合の付添人の通院交通費も積極損害として認められる場合もあります。

義肢等の装具費用および車や家屋の改造費用

装具の代表的なものとして、

  • 義歯
  • 義眼
  • 義手
  • 義足
  • 人工カツラ

や、介護用品として

  • 介護用ベッド
  • 折り畳み式スロープ
  • 人工呼吸器

などがあります。

交通事故による傷害・後遺障害によってこれら各種装具を付けたり介護用品の購入を余儀なくされる場合、これら装具・用品の購入費は積極損害として認められます。

また後遺障害事故の場合であれば,症状固定後も将来の買換え費用が積極損害として認められる場合もあります。

それと後遺障害事故で自宅や自動車などを後遺障害者用に改造しなければならない場合、自宅や自動車などの改造費が積極損害として認められることがありますが、改造によって後遺傷害を負った本人以外の家族の利便性も高まるとの理由で、一定限度で減額される場合があります。

葬儀関係費

被害者が死亡した場合は葬儀関係のおおよそ下記費目が積極損害として認められます。

  • 火葬・埋葬料
  • 読経・法名料
  • 布施・供物料
  • 花代
  • 通信費
  • 広告費
  • 葬儀社に支払う費用

この他にも

  • 弔問客に対する饗応・接待費
  • 遺族の交通費
  • 49日忌までの法要費

などが相当なものとされた場合に限り認められます。

ただし葬儀関係費用について裁判所は現実の支出額にかかわらず、ほぼ一定の金額を損害として認めており、裁判所基準では150万円程度となります。

なお、この150万円は必ず認めれる金額ではなく、かかった費用が150万円程度を下回る場合は実費が認められるので注意してください。

葬儀関係費として認められないもの

  • 遺族以外の葬式参列のための交通費
  • 引出物代
  • 香典返し
  • 49日忌を超える法要費

は積極損害としては認められません。

葬儀関係費の裁判所基準と自賠責保険基準の違い

葬儀費 その他
裁判所基準 130万~170万円。
これを下回る場合は、実際に支出した額。
墓地・墓石・仏壇購入費も認められる。
自賠責保険基準 60万円。
立証資料等により、100万円の範囲内で必要かつ妥当な実費。
墓地購入費は認められない。

被害者側は裁判所基準で損害額を算定して賠償請求することで、適正な賠償額を受け取ることができます。

自賠責保険の支払限度額を超える部分は任意保険会社が支払うことになりますが、保険会社の提示額が妥当な額かどうかを見極め、判断が難しいと感じたときは、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

物損事故の積極損害

物損事故の積極損害には修理費用や評価損などがあります。

修理費用が時価額を超えた場合は「全損」扱いとなり、新たに車を買い替える場合は税金などの購入経費も認められます。

車両に対する積極損害

修復可能な場合の修理費用

修復可能であれば修理費用全額が実費として認められ、修理費用が時価を超える場合は「全損」扱いとなります。

修復不可能もしくは全損の場合の修理費用

事故直前の中古市場価格から事故後のスクラップ価格を引いた額が損害額となります。

評価損

売却や下取りに出す場合に同年代の同型車の無事故車と比較して低く評価される分の差額。
裁判で認められた判例があり、事故直前の評価額の10%もしくは20~30%を評価損害額とするのが一般的です。

代車使用料

修理または買い替えの期間中にレンタカーなどを使用する費用

車両以外の積極損害

建物の修理費や物品の修理・交換費、積荷や農作物などの損害賠償が認められます。
損害賠償額の算定基準について

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